FP(ファイナンシャル・プランナー)の資格を取得するためには、いくらぐらいの費用がかかるでしょうか。
資格を取得するための費用は、独学か講座を受講するかで大きく変わります。独学だと費用はあまりかかりませんが、効率的に勉強できないという心配もあるでしょう。
また、日本FP協会が認定するAFP資格・CFP®資格は、「取ったら終わり」というものではありません。日本FP協会の年会費がかかるうえ、資格を更新するための研修の受講費用も必要です。
つまり、資格を維持するためにも費用がかかります。
ここでは、独立開業しているFP(CFP®認定者)が、AFP資格・CFP資格の取得と維持のために必要な費用について解説します。
AFP資格・CFP資格を取ろうと思っている人はぜひ参考にしてください。
1.AFP資格とCFP資格
はじめに、FP(ファイナンシャル・プランナー)の資格の体系を確認します。
FPの資格には「国家検定」と「民間資格」があって、次の表のような体系になっています。
(難易度の高い順に並べています。)
国家検定 | 民間資格 |
---|---|
1級FP技能士 2級FP技能士 3級FP技能士 | CFP®資格 AFP資格 |
(1級~3級FP技能士は、正式には「1級~3級ファイナンシャル・プランニング技能士」と表記します。)
FP技能士は、国が資格の認定を行いますが、試験は日本FP協会や金融財政事情研究会(きんざい)が実施します。認定されると、厚生労働大臣から認定証が送られます。
一方、AFP、CFPは、日本FP協会が認定する資格です。2年ごとに資格の更新があり、その間に定められた研修を受けるなどして必要な単位を取得しなければなりません。
ここでは、資格の維持費用が必要なAFP資格とCFP資格に焦点をあててご紹介します。
2.AFP資格の取得・維持費用の目安
AFP資格の取得・認定には、4万円~19万円ぐらい必要と見込まれます。
さらに、AFP資格を維持するための費用として、毎年1万5,000円~5万円ぐらいが必要になります。
2-1.AFP認定研修修了・試験合格までの費用
AFP資格を取得するためには、日本FP協会の「AFP認定研修」を受講しなければなりません。つまり、完全に独学でAFP資格を取得することはできません。
通常は、「AFP認定研修」を修了して「2級FP技能検定(FP2級)」に合格するという流れになります。(このほかFP3級から受験する方法や、税理士、公認会計士、大学院生の特例もありますが、これらの場合の説明は省きます。)
AFP認定研修を修了してFP2級の試験に合格するまでの費用は、独学の場合は3万円~4万円ぐらい、講座を受ける場合は4万円~18万円ぐらいと見込まれます。
費用の内訳は下記のとおりです。
講座の受講費用は、教育機関によって大きく変わります。eラーニングの活用で受講料が低額になっているコースもあります。
- AFP認定研修・2級FP技能検定対策の費用
- 先に独学で2級FP技能検定に合格し、AFP認定研修だけを受講する場合 2万円~3万円ぐらい(テキスト・問題集など+AFP認定研修)
- AFP認定研修と2級FP技能検定対策の講座を受ける場合 3万円~17万円ぐらい
- 2級FP技能検定の受検手数料 11,700円(学科・実技)
(2022年9月の試験から改定されました) - その他、書面で受検を申し込む場合の郵送料や、試験会場までの交通費などが必要です。
2-2.AFP資格認定のための費用
AFP資格の認定を受けるためには日本FP協会に入会する必要があり、入会金が必要です。
- 日本FP協会の入会金 10,000円(消費税対象外)
(学生は申請すれば入会金が免除されます。)
入会と同時に初年度の年会費(12,000円)を納めますが、説明の都合上、年会費は「資格を維持するための費用」として次の項目で解説します。
2-3.AFP資格を維持するための費用
AFP資格を維持するための費用は、毎年1万5,000円~5万円ぐらいです。
AFP資格を維持するためには、日本FP協会に年会費を納めるほか、おおむね2年の継続教育期間のうちに15単位の継続教育を受けなければなりません。
AFP資格を維持するための費用の内訳は、下記のとおりです。
- 日本FP協会の年会費 12,000円(消費税対象外)
(学生は申請すれば年会費が半額になります。) - 継続教育の受講費(1年で7.5単位取得と仮定) 3,000円~4万円ぐらい
- 認定教育機関主催セミナー 1単位あたり2,000円~5,000円ぐらい
- 日本FP協会本部・支部主催セミナー 1単位あたり1,000円~5,000円ぐらい
- スタディーグループ(SG) 1単位あたり1,000円~3,000円ぐらい
- FP ジャーナル継続教育テスト 3単位990円
3.CFP資格の取得・維持費用の目安
CFP資格の取得・認定には、8万円~38万円ぐらい必要と見込まれます。
独学で勉強するか講座を受けるかだけでなく、資格認定に必要な実務経験をどの程度研修で補うかによっても金額が大きく変わります。
CFP資格を維持するための費用は、年間2万5,000円~10万円ぐらいと、AFP資格の場合に比べて高くなります。
3-1.CFP資格審査試験に合格するまでの費用
CFP資格を取得するには、6課目のCFP資格審査試験に合格したうえでCFPエントリー研修を受講し、さらに所定の実務経験を積むことが必要です(研修の受講でも構いません)。
6課目のCFP資格審査試験に合格するまでにかかる費用は、独学の場合は7万円ぐらい、講座を受ける場合は15万円~28万円ぐらいと見込まれます。
AFP資格に比べて学習内容が多く試験科目も増えるため、費用も高くなります。
- CFP資格審査試験対策の費用
- 独学の場合 3万5,000円ぐらい(日本FP協会のテキストと過去2年分の問題集)
- 講座を受ける場合 12万円~25万円ぐらい(6課目合計)
- CFP資格審査試験の受験料 3万円ぐらい(6課目合計)
- 1回の受験で出願する課目の数によって、下記の受験料が必要です。
(2024年6月の試験から受験料が改定されます。1課目では引き上げ、3課目以上では引き下げとなります。下記は改定後の受験料です。(2023年11月26日追記))- 1課目 6,600円
- 2課目 9,900円
- 3課目 13,200円
- 4課目 16,500円
- 5課目 19,800円
- 6課目 23,100円
- 1回の受験で出願する課目の数によって、下記の受験料が必要です。
- その他、書面で受験を申し込む場合の郵送料や、試験会場までの交通費が必要です。試験を実施する場所が少ないので、宿泊費が必要になる場合もあります。
3-2.CFP資格認定のための費用
6課目のCFP資格審査試験に合格しても、すぐに資格認定されるわけではありません。
合格後にCFPエントリー研修を受講し、3年分の実務経験の要件を満たさなければなりません。
実務経験は、FPとしての相談業務のほか、金融機関での顧客対応、一般企業での福利厚生関連業務など幅広い業務が認められています。このほか、「みなし実務研修」、「プロフェッショナルFP研修」、「レジデンシーコース」などを受講して実務経験に代えることもできます。
CFP資格の認定のためにかかる費用は、5,000円~10万円ぐらいと見込まれます。
内訳は下記のとおりです。
- CFPエントリー研修 無料
- 実務経験を「みなし実務研修」などで補う場合の研修の受講料 0円~9万円ぐらい
不足する実務経験を研修で補う場合は、研修の受講料が必要です。(3年分の実務経験があれば、研修を受ける必要はありません。)
1年分を研修で補う場合は3万円ぐらいですが、3年分を研修で補う場合はその3倍ぐらいの費用がかかるでしょう。
なお、これらの研修は東京か大阪で開催されることが多いため、交通費・宿泊費が必要な場合もあります。 - CFP登録料 5,000円(消費税対象外)
- 会員証には写真が載ります。証明写真を使う場合は写真代が必要です。
3-3.CFP資格を維持するための費用
CFP資格を維持する費用は年間2万5,000円~10万円ぐらいと、AFP資格の場合に比べて高くなります。日本FP協会の年会費に加えて「CFP会費」がかかることと、資格更新のための継続教育単位がAFPの2倍必要になるためです。
CFP資格を維持するための費用の内訳は、下記のとおりです。
- 年会費 20,000円(日本FP協会の年会費12,000円+CFP会費8,000円、消費税対象外)
(学生は申請すれば年会費部分が半額になります。) - 継続教育の受講費(1年で15単位取得と仮定) 5,000円~8万円ぐらい
- 認定教育期間主催セミナー 1単位あたり2,000円~5,000円ぐらい
- 日本FP協会本部・支部主催セミナー 1単位あたり1,000円~5,000円ぐらい
- スタディーグループ(SG) 1単位あたり1,000円~3,000円ぐらい
- FP ジャーナル継続教育テスト 3単位990円
- このほか、2年ごとの資格の更新には顔写真が必要で、証明写真を使う場合は写真代がかかります。さらに、郵送で申請する場合は郵送料も必要です。
4.まとめ
ここまで、AFP資格、CFP資格の取得と維持にかかる費用をご紹介しました。
これらの費用を会社が負担してくれる場合や資格手当が出る場合は、費用のことは特に意識しなくてもいいかもしれません。
しかし、自分で負担しなければならない場合は、「資格を取得・維持するための費用」と「資格を持っていることの効果」を比較したうえで、資格を取得するかどうかを考えることも大切です。