フリーランスでもクレジットカード(ビジネスカード)は作れます~メリット・デメリットを解説~

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フリーランス独立開業したい人

外国からの来訪者が増えたことや、感染症を避けるため接触を減らしたいという需要などから、クレジットカードやスマートフォンを使ったキャッシュレス決済が広がっています。
フリーランスの人の中には、「経費の支払いでクレジットカードを使いたいけど、そもそもカードを作れるか心配……」という人がいるかもしれません。

しかし、フリーランスでもクレジットカードを作ることはできます。今では、個人事業主やフリーランスに向けた「ビジネスカード」もたくさんあります。

今回は、独立開業して9年目のFP(ファイナンシャル・プランナー)が、フリーランスの人がビジネスカードを作ることのメリット・デメリットを解説します。

1.ビジネスカードとは?法人カードとの違いは?

「ビジネスカード」とは、個人事業主やフリーランスの人に向けて発行されるクレジットカードのことです。中堅企業や大企業に向けた「コーポレートカード」と合わせて「法人カード」と呼ばれることもあります。

ビジネスカードは、個人向けのクレジットカードと同じように使うことができますが、従業員用の追加カードを発行できたり、ビジネスに役立つ特典が付帯されていたりします。

2.フリーランスでもビジネスカードを作れる

オンラインショッピングのイメージ

フリーランスで事業をしていると、クレジットカードを使うこと自体が少ないかもしれません。また、収入が不安定という理由から、フリーランスはクレジットカードの入会審査が厳しいとも言われています。
そのため「わざわざクレジットカードを作らなくてもいいのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、フリーランスの人も「ビジネスカード」を作ることをおすすめします。

ビジネスカードにはさまざまな種類があり、個人事業主やフリーランスの人でもカードを作りやすい環境になっています。中には、決算書や確定申告書の提出が必要ないなど、開業してすぐに作れるカードもあります。

ここで、「作れるかどうかわからないビジネスカードではなく、会社勤めのときに作った個人用のクレジットカードを使えばいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。
最初はやむを得ないかもしれませんが、事業に使うのであればビジネスカードを作ることをおすすめします。

私も独立した当初は個人向けのカードを使っていましたが、翌年にはビジネスカードを作りました。

3.ビジネスカードを作るメリット・デメリット

メリットとデメリットのイメージ

次に、フリーランスの人がビジネスカードを作ることのメリット・デメリットを解説します。
メリットとデメリットを比較してメリットが上回るようであれば、ビジネスカードを作るとよいでしょう。

3-1.ビジネスカードを作るメリット

ビジネスカードを作るメリットは、主に次の5つです。

  • キャッシュレスで経費の支払いができる
  • ポイントがたまる
  • 実際の支払いを先延ばしできる
  • 個人向けカードより利用限度額が高い
  • 事業の支払いとプライベートの支払いが分けられる

3-1-1.キャッシュレスで経費の支払いができる

ビジネスカードがあれば、事業に必要な経費の支払いをキャッシュレスで(現金を使わないで)決済できます。

はじめにお伝えしたように、この数年でキャッシュレス決済ができる場所は多くなりました。以前は「カードお断り」だったようなお店でも、カードを使えるようになっているケースがあります。

3-1-2.ポイントがたまる

クレジットカードを利用すると、利用金額に応じてポイントがたまります。ビジネスカードでもポイントがたまることが多いです。
利用金額のうち何%かが実質的に還元されるため、現金で支払うよりお得になります。

3-1-3.実際の支払いを先延ばしできる

事業に必要な経費をビジネスカードで決済すると、実際の支払いを先延ばしすることができます。

現金または振り込みで支払うとその日にお金が出ていきますが、カードで支払うとカード会社が指定する日に代金が引き落とされます。カード会社にもよりますが、実際の支払いを1か月程度先に延ばすことができます。

経費の支払いから売上の入金まで時間がかかる場合には、ビジネスカードを資金繰りの改善に役立てることができます。

3-1-4.個人向けカードより利用限度額が高い

ビジネスカードは、個人向けのカードより利用限度額が高い傾向があります。高額の支出がある場合には、ビジネスカードの方が使いやすいでしょう。
ただし、実際に利用限度額がいくらになるかは、個人の状況によります。

3-1-5.事業の支払いとプライベートの支払いが分けられる

一つのカードを事業とプライベートの両方に使っていると、税理士に相談するときや税務署の調査があったときに、プライベートの支払いを知られる恐れがあります。

また、帳簿をつけるときには、カードの利用明細を見て事業の支払いとプライベートの支払いを区分しなければなりません。確定申告の時期に1年分記帳する場合は、これらの区分が非常に面倒になります。事業とプライベートでカードを分けておくと、記帳も効率的にできるでしょう。

3-2.ビジネスカードを作るデメリット

ビジネスカードを作ることにはデメリットもあります。主に次の2つのデメリットが挙げられます。

  • 年会費がかかるカードが多い
  • 審査に落ちる可能性がある

3-2-1.年会費がかかるカードが多い

個人向けのカードでは年会費が無料のカードも多いですが、ビジネスカードでは年会費がかかることが多いです。

ただし、近年は年会費無料のビジネスカードが増えつつあります。年会費がかかることになっていても、一定の条件を満たせば無料になる場合もあります。

3-2-2.審査に落ちる可能性がある

ビジネスカードに限らず、クレジットカードの発行には必ず審査があります。クレジットカードの「クレジット」とは信用という意味で、カード会社が立て替えたお金をきちんと払えるかどうかが審査されます。

カード会社が定める基準を満たしていなければ、審査に落ちてカードは発行されないことになります。

4.ビジネスカードを作るときに気になること

ヒントのイメージ

続いて、フリーランスの人が実際にビジネスカードを作るときに気になることについて解説します。

4-1.勤め先はどのように書く?

クレジットカードを作るときには、勤め先の名前や住所が必要です。個人事業やフリーランスで仕事をしている場合は、どうやって書けばいいか悩むこともあるでしょう。会社ではないからといって、書かないわけにもいきません。
個人事業主・フリーランスの場合は、勤め先の名称として「屋号」を記入します。屋号がなければ、「自営」と記入するか、業種など指定された事項を記入します。

勤め先の住所は、事務所があるところの住所を記入します。フリーランスであれば、自宅の住所と同じになることも多いでしょう。名刺やWebサイトで住所を公開していない場合でも、カードの申し込みではきちんと書くようにしましょう。

職業については、「個人事業主」、「自営業」、「自由業」、「フリーランス」などと書けばよい場合もありますが、仕事の内容を詳しく書くよう求められる場合もあります。

4-2.ビジネスカードの年会費は必要経費になる?

ビジネスカードの年会費は事業の必要経費にできます。「支払手数料」、「諸会費」または「雑費」として計上します。

ビジネスカードには、年会費が数万円する代わりに手厚い特典が受けられるものもあります。出張や会食の機会が多いという方は、そういったカードを選んでもよいでしょう。

4-3.今まで1枚もクレジットカードを作ったことがない場合は?

ここまでフリーランスでもビジネスカードを作れるとお伝えしてきました。しかし、今まで個人向けも含めてクレジットカードを1枚も作ったことがない人は、審査が厳しくなるかもしれません。

今までクレジットカードを使ったことがない人は、利用代金をきちんと払えるかどうかの情報がなく、カード会社はカードを発行してよいかどうか判断に困るということがその理由です。

このような場合は、ひとまずプライベートで使うカードを作って、カード利用の実績を積んでいくとよいでしょう。しかし、これには時間がかかるので、審査がいらない「デビットカード」を作るのも一つの方法です。

5.デビットカードでもキャッシュレス決済はできる

キャッシュレス決済のイメージ

クレジットカードにこだわらずに、発行時の審査がない「デビットカード」を使うことも一つの方法です。

デビットカードは、利用代金が預金口座から即時に引き落とされるカードです。そのため、クレジットカードのように支払いを延ばすことはできませんが、一部の例外を除いてクレジットカードと同じように使うことができます。
ビジネスカードの審査に落ちてしまった人や、審査に通るかどうか心配な人には有効な選択肢です。

以下の銀行では、屋号付き(屋号+氏名または氏名+屋号)の個人事業主口座が作れるうえ、キャッシュカードはデビットカードとして利用できます。

  • PayPay銀行(屋号+氏名のみ)
  • GMOあおぞらネット銀行
  • 楽天銀行

6.まとめ

ここまで、フリーランスの人でもビジネスカード(クレジットカード)を作れることをお伝えしました。

独立して日が浅い場合でも、個人向けのカードを使い続けるよりは、ビジネスカードを作ることをおすすめします。事情があってビジネスカードを作れない場合は、銀行のデビットカードを使うという選択肢もあります。


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