海外旅行では、旅行保険に加入することをおすすめします。
海外で病気やケガをすると、日本では考えられないほどの費用がかかる場合があります。こうした金銭的な負担を避けるために海外旅行保険は欠かせません。
これから、海外旅行では必ず入っておきたい海外旅行保険について解説します。
なお、クレジットカードに海外旅行保険が付いているケースも多いのですが、コロナ禍を経て保険の適用条件が変わっているカードが多いです。クレジットカードがあるからといって安心できるとは限らないので、注意が必要です。
1.海外旅行保険に入る必要はある?
そもそもの話として、海外旅行保険に入る必要はあるのでしょうか?
個人的な意見ですが、海外旅行保険に入る必要はあるの?と聞かれれば「入る必要がある」とお答えします。
理由としては、海外では日本のように健康保険が効かないことと、保険加入が義務づけられている国があることなどがあげられます。
1-1.海外で日本の健康保険は使えない
日本で病気やケガをして医療機関で診療を受ける場合は健康保険が適用され、医療費のうち3割(現役世代の場合)を支払えばよいことになっています。さらに、高額療養費制度によって月々の自己負担には上限があります。
しかし、このような健康保険のしくみが使えるのは日本国内だけで、海外では使えません。もし、旅先で病気やケガをして診療を受けることになった場合は、費用を全額負担しなければなりません。
1-2.保険加入が義務づけられている国もある
目的地によっては、海外旅行保険への加入が義務づけられている場合があります。
たとえば下記の国では、一定の要件を満たす保険への加入が義務づけられています。
- チェコ、ポーランド、ラトビア、リトアニア、ブルガリア、エストニア、ハンガリー、イラン
(出典:海外旅行保険への加入が義務化されている国 海外旅行保険t@bihoたびほ(ジェイアイ傷害火災保険))
2.海外旅行保険の補償・サポート内容
海外旅行保険では、どういった補償やサポートが受けられるのでしょうか。ここでは、海外旅行保険の一般的な補償・サポート内容をご紹介します。
具体的な補償内容は、加入する保険の契約によって変わります。
2-1.旅行中のトラブルによる損害を幅広くカバー
海外旅行保険は、旅行中に起こるさまざまなトラブルによる損害を幅広くカバーしています。
補償の内容は下記のとおりです。これらの損害を総合的にカバーする保険のほか、必要な補償を選んで加入する保険もあります。
- 旅行中の病気やケガによる死亡・後遺障害に対する補償
- 旅行中の病気やケガの治療費用の補償
- 旅行先で入院して家族が駆け付けた場合の費用の補償
- 旅行中に誤って他人にけがを負わせたり他人の物を壊したりして賠償責任を負った場合の補償
- 旅行中に持ち物が盗難に遭ったり壊れたりした場合の損害の補償
- 航空機の預入手荷物の到着が遅れて身の回り品を購入した場合の費用の補償
- 航空機が遅れて宿泊費・食事代を自己負担した場合の費用の補償
- 一定のやむを得ない事情により出国を中止または旅行を途中で取りやめて帰国した場合の費用の補償
- 旅行中の予期せぬ偶然な事故により負担した交通費・宿泊費・食事代・通信費などの補償
(参考:一般社団法人日本損害保険協会)
これらの補償については、保険会社が定める条件に当てはまった場合に保険金が支払われることになります。どのようなときに保険金が支払われるか具体的な条件は、加入時によく確認しておきましょう。
2-2.日本語のサポートも心強い
海外旅行保険に加入すると、お金による補償のほか、電話で日本語によるサポートも受けられます。
旅行先で病気やケガをしてしまったときや、パスポートや身の回りのものが盗まれてしまった場合に、自分だけでトラブルを解決することは困難です。このようなときに日本語でサポートを受けられると心強いでしょう。
このほか、提携医療機関で診療を受けると、保険会社から治療費が支払われ、自己負担が不要になる場合もあります(キャッシュレス・メディカルサービス)。
3.海外旅行保険の加入方法~窓口・ネット~
海外旅行保険に加入するには、主に、空港にある保険カウンターを利用するか、事前にインターネットで加入するという方法があります。
空港の保険カウンターで加入すると手っ取り早いですが、出発前は何かと慌ただしいため、補償内容をじっくり検討したい場合には向いていないかもしれません。
前もって補償内容を検討したい場合や保険料を安く抑えたい場合は、インターネットで加入するとよいでしょう。
旅行会社でツアーを申し込んだ場合は、旅行会社を通して加入できる場合もあります。
4.クレジットカードの旅行保険は「自動付帯」と「利用付帯」がある
クレジットカードには海外旅行保険が付いているものがあります。条件を満たせば、保険料を払わなくても一定の補償が受けられます。
クレジットカードの海外旅行保険を利用する場合は、保険の適用条件に注意しましょう。保険の適用条件には「自動付帯」と「利用付帯」があります。
- 自動付帯:カードの会員であれば自動的に保険が適用される
- 利用付帯:旅行代金(ツアー料金や公共交通機関の運賃)をカードで支払うことではじめて保険が適用される
コロナ禍を経て、以前は「自動付帯」だった保険が「利用付帯」に変わるケースが非常に多くなっています。
お持ちのカードの海外旅行保険が「利用付帯」であれば、旅行代金をそのカードで支払わないと保険が適用されません。これを間違えると受けられるはずの補償が受けられないことになるため、久しぶりに海外旅行をする方は特に注意してください。
海外旅行保険が「自動付帯」から「利用付帯」に変わっている例をいくつかご紹介します。
5.カード付帯保険+上乗せ加入も選択肢に
クレジットカード付帯の海外旅行保険はサービスの一環という位置づけなので、補償が必ずしも十分とはいえません。
海外で急病やケガにより入院した場合は、治療費が数千万円に上るケースもあります。一般的なカード付帯保険で補償される治療費は多くても500万円なので、全然足りません。
海外旅行保険の中には、カード付帯保険で足りない補償を選んで上乗せできる商品もあります。
カード付帯保険が使えるのであれば、あるものを有効に使ったうえで、足りない補償については上乗せして保険に加入するとよいでしょう。
- クレジットカードの付帯保険を利用(利用付帯であれば適用条件を満たす)
- 足りない補償は上乗せ加入(家族連れの旅行、日程が長い旅行、欧米への旅行など)
治療費・救護費・賠償責任の補償は「無制限」か「1億円以上」になるように契約すると安心です。その分保険料が高くなってしまいますが、必要経費だと受け止めるようにしましょう。
繰り返しになりますが、カード付帯保険では以前は「自動付帯」だったものが「利用付帯」に変わっているケースが多いので、事前に確認しておきましょう。
カード付帯保険と一般の海外旅行保険の両方に加入した場合と、カード付帯保険が複数適用できる場合の保険金の支払は次のようになります。
カード付帯保険+海外旅行保険に加入した場合の保険金
- 治療費・賠償責任・携行品損害など:カード付帯保険と一般の海外旅行保険の保険金額を合算した金額の範囲内で実際の損害額が支払われる(1回の事故について限度額があればその金額まで)。
- 死亡・後遺障害:カード付帯保険と一般の海外旅行保険の両方から保険金が支払われる
カード付帯保険が複数適用される場合の保険金
- 治療費・賠償責任・携行品損害など:カード付帯保険の保険金額を合算した金額の範囲内で実際の損害額が支払われる(1回の事故について限度額があればその金額まで)。
- 死亡・後遺障害:法人カード・個人カード別に最も高い保険金額を合算
(参考:一般社団法人日本損害保険協会)
海外旅行保険が付いたクレジットカードを複数持っていると、治療費・賠償責任・携行品損害などについては、補償される金額の範囲がそれだけ大きくなるということです(ただし、利用付帯なら適用条件を満たしておく必要があります)。
6.リスクに備えて楽しい旅行を
海外旅行保険に加入しておくことで、旅行中の病気やケガによる損害に備えることができます。保険に加入しただけで安心せず、補償内容の確認や現地での連絡方法の確認も忘れないようにしましょう。
久しぶりに海外に行こうとお考えの方もいらっしゃると思いますが、そのような方はクレジットカード付帯保険の適用条件を必ず確認しましょう。