おひとりさまは月々お金をどれぐらい使っている?~家計調査から読み解くおひとりさまの支出

おひとりさま(シングル、独身の人)
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おひとりさま(単身者・シングル)は、月々お金をどれぐらい使っているのでしょうか。

おひとりさまといっても暮らし向きは人それぞれで、お金の使い方をひとまとめに言い表すことはできませんし、あまり平均値を気にしても仕方がないかもしれません。
しかし、他の人がどのように暮らしているのか、自分のお金の使い方はこれでいいのか、といったことはどうしても気になってしまいます。

この記事では、おひとりさま専門のFP(ファイナンシャル・プランナー)が、総務省の「家計調査」の結果をもとにおひとりさまの毎月の支出を読み解いていきます。

そもそもご自身が月々いくら使っているかがつかめていない人は、おひとりさまが家計に向き合うときの基本的な考えかたを参考にしてください。

1.おひとりさまの月々の支出は平均15万5,000円

総務省の家計調査によると、2021年の単身世帯の月間の消費支出(税金や社会保険料を除いた支出)の平均額は15万5,046円でした。

費目別(使いみちごと)に分類して支出額が1万円以上あったものは、次のとおりです。

  • 食料費 3万8,410円
  • 住居費 2万2,116円
  • 光熱・水道費 1万1,383円
  • 交通・通信費 1万8,856円
  • 教養娯楽費 1万7,106円
  • 諸雑費 1万4,236円
  • 交際費 1万2,951円

(支出額が1万円未満の費目は、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療などです。)

これらの金額がご自身の感覚と合っていることもあれば、どこか違うと思うこともあるでしょう。このあと、おひとりさまの月々の支出の傾向について、主に年齢層や性別といった観点から詳しく見ていきます。

家計調査とは
家計調査は、国民の家計収支の実態を把握して政策立案に役立てる目的で総務省が実施しています。調査結果は、政府や地方公共団体、民間などで幅広く活用されています。
具体的には、調査対象になった世帯(全国で約9,000世帯)で毎月家計簿をつけてもらい、収入がどのくらいあったか、何をどれだけ買ったかなど、事細かに調査します。これらの事項を継続的に記録することは大変手間のかかる作業ですが、調査対象の世帯の方々の協力によって成り立っています。
この記事では、家計調査の結果として下記の資料を参考にしています。

家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 年次 2021年(e-Stat 政府統計の総合窓口)

家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 年次 2021年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
家計調査は、統計理論に基づき選定された全国約9千世帯を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを毎月調査しています。  家計調査の結果は、我が国の景気動向の把握、生活保護基準の検討などの基礎資料として利用のほか、地方公共団体、民間の会社などでも利用されています。  二人以上の世帯の結果は、主に、地域・世帯属性ごとに...

1-1.食料費は年齢層や性別によって差がある

食料費(肉と野菜)

食料費は、主食や肉、魚、野菜などのほか、飲料、酒類、菓子類などを買うための費用です。外食の費用も含まれます。

食料費の月間平均は3万8,410円ですが、年齢層や性別によって差がみられます。

月間の食料費を年齢層ごとにみると、次のとおりです。

  • 34歳以下 3万5,418円
  • 35~59歳 4万2,108円
  • 60歳以上 3万7,629円

食料費のうち外食の費用は34歳以下の人が最も多いですが、それ以外の項目ではおおむね他の年齢層の人のほうが多く支出しています。

性別ごとに見ると、男女で大きな差がみられます。

  • 男性 4万2,332円
  • 女性 3万4,981円

男性は女性に比べて、外食や調理食品(弁当や惣菜など)、酒類に対する支出が多い傾向があります。

1-2.住居費は賃貸か持ち家かで大きな違い

住居費(住宅街)

住居費は主に家賃や地代です。家の修繕費も含まれますが、住宅ローンの返済は含まれません。

住居費の月間平均は2万2,116円です。賃貸住宅に住んでいる人にとっては、実感と大きく異なる金額ではないでしょうか。

しかし、年齢層ごとに住居費と持家率を比べると背景がわかります。

  • 34歳以下 3万5,951円(持家率7.5%)
  • 35~59歳 2万7,842円(同46.4%)
  • 60歳以上 1万3,867円(同79.6%)

持家に住むと家賃を支払う必要がないため、住居費は少なくなります。調査対象になった単身世帯は、持家率の高い60歳以上の世帯が7割を占めていて、そのことが全体の調査結果に影響しているとみられます。

そこで、住居費を住居の形態ごとに集計した結果を見てみましょう。これで少しは実感に近づくかもしれません。

  • 持ち家 7,475円
  • 民間の賃貸住宅 5万1,472円
  • 公営の賃貸住宅 2万3,728円
  • 社宅や寮など 1万3,505円

1-3.光熱・水道費は年齢層や地域によって差がある

光熱・水道費(エアコン)

光熱・水道費の月間平均は1万1,383円です。

年齢層ごとにみると、34歳以下の人は35歳以上の人に比べて支出額が6割程度にとどまります。若い人は社宅や寮などに住むことが多く、光熱・水道費の負担が少ないと考えられます。

  • 34歳以下 7,675円
  • 35~59歳 1万1,480円
  • 60歳以上 1万2,747円

光熱・水道費については、地域によっても差がみられます。寒冷地である北海道・東北の支出額は、他の地域に比べて3割ほど高くなっています。

  • 北海道・東北 1万4,788円
  • 関東 1万666円
  • 北陸・東海 1万1,215円
  • 近畿 1万253円
  • 中国・四国 1万2,544円
  • 九州・沖縄 1万1,267円

1-4.交通・通信費は働いているかどうかで大きな違い

交通・通信費(駅の改札口)

交通費には、電車など公共交通機関の運賃・定期代のほか、マイカーの購入や維持費(ガソリン代・駐車料・自動車保険など)も含まれます。通信費には、固定・携帯電話の料金などが含まれます。

交通・通信費の月間平均は1万8,856円ですが、働いている人とそうでない人では支出額は大きく異なります。

  • 勤労者世帯 2万3,734円
  • 勤労者以外の世帯 1万4,244円

同様の理由から、60歳以上の人は他の年齢層の人に比べて交通・通信費が少ない傾向にあります。

  • 34歳以下 2万152円
  • 35~59歳 2万5,059円
  • 60歳以上 1万5,151円

1-5.教養娯楽費は女性より男性の支出額が多い

教養娯楽費(本棚)

教養娯楽費には、新聞・雑誌・書籍の購入費用、習い事の月謝、スポーツ・ゲーム関連費用のほか、ペット・園芸関連費用などが含まれます。また、テレビ・パソコンの購入や旅行などの高額な支出も含まれます。

教養娯楽費の月間平均は、1万7,106円です。女性より男性の支出額が多く、60歳以上より59歳以下の支出額が多くなっています。

  • 34歳以下 男性 2万1,220円、女性 1万7,964円 
  • 35~59歳 男性 2万4,817円、女性 1万5,793円
  • 60歳以上 男性 1万5,508円、女性 1万2,988円

1-6.その他の消費支出(諸雑費・交際費)

交際費(のし袋)

諸雑費には、日用品、理美容、化粧品などのほか、医療保険などいわゆる掛け捨ての保険料が含まれます。諸雑費の月間平均額は1万4,236円です。女性は男性に比べて、美容に関する支出が多くなっています。

交際費はつきあいの費用のほか、祝儀や香典、財産分与などの贈与金も含まれます。交際費の月間平均額は1万2,951円です。男性より女性の支出額が多く、年齢層が上がるごとに支出額が多くなる傾向がみられます。

2.支出の平均額は幅広い層の家計の姿を反映したもの

ここまで、総務省の「家計調査」の結果をもとにおひとりさま(単身者・シングル)の月々の平均的な支出額をご紹介しました。

ここでお伝えした支出額は、あくまでも幅広い層の家計の姿を反映した平均値です。毎月の支出を必ずこの金額に合わせなければならないというものではありません。

しかし、ひとり暮らしをしていると、お金を使い過ぎても止める人がいません。そのため、自分でどうにかして家計をコントロールする必要があります。家計の見直しが必要な方は、ここでご紹介した支出額を参考にされてはいかがでしょうか。

2022年から物価が急速に上昇しています。今までの暮らしを保つのであれば、支出の増加は当面避けられないでしょう。物価の上昇に収入が追いつくまでには時間がかかるとみられ、物価高を乗り切るためには、家計の見直しも必要になってくると思います。


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