この記事は、CFP®資格のメリットとデメリットについて筆者の意見を述べたものであり、広告記事ではありません。
CFP®認定者になろうと思っているものの、勉強が難しかったり、費用がかかったりといった理由で、あきらめそうになっている人はいないでしょうか。CFP資格審査試験の受験を勧められたのはいいけれど、言われたまま目指していいものかどうか迷っている人もおられるかもしれません。
今回は、CFP認定者をめざす人のために、CFP資格のメリット・デメリットをご紹介します。
CFP認定者になるかどうか迷っている人や、試験を受けるかどうか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
1.CFP資格とは(おさらい)
CFP認定者をめざしている人はすでにご存知とは思いますが、改めてCFP資格とはどのような資格なのかご紹介します。
1-1.日本FP協会が認定する上級資格
CFP資格はファイナンシャル・プランナーの上級資格であり、世界25か国・地域で導入されています。日本では日本FP協会が認定しています。
2024年5月1日現在、日本では26,679名が認定されていて、FP事務所、士業事務所のほか、金融機関、保険会社、事業会社、各種団体などさまざまな業種で活躍しています。
1-2.試験の概要・認定までの流れ
CFP資格審査試験は、年に2回(6月、11月)、2日間に分けて行われます。
下記の6課目すべての試験に合格する必要がありますが、一度に合格する必要はなく、時間をかけて6課目合格することができます。
- 金融資産運用設計
- 不動産運用設計
- ライフプランニング・リタイアメントプランニング
- リスクと保険
- タックスプランニング
- 相続・事業承継設計
6課目の試験に合格すると、「CFPエントリー研修」と一定の実務経験(またはそれに準じた研修の受講)を経て資格が認定されます。
1-3.試験の合格率・6課目合格までにかかる年数
CFP資格審査試験の合格率は課目によって異なりますが、おおむね3割~4割で推移しています。下記の記事では、直近の試験の課目ごとの合格率をご紹介しています。
6課目合格するまでにかかる年数は、それぞれの人の勉強方法や勉強できる時間などで変わってきます。一度の受験で6課目合格する人もいれば、3年以上かけて合格する人もいます。
日本FP協会は、CFP資格審査試験で6課目合格した人を対象にアンケートを実施し、「6課目合格するまでに受験した回数」を聞き取っています。回答は下記のとおりまちまちでした。
- 1回:6%
- 2回:13%
- 3回:18%
- 4回:18%
- 5回:13%
- 6回:16%
- その他(7回以上など):16%
(CFP資格審査試験は1年に2回実施されるので、単純に計算すれば、受験回数を2で割った値が6課
目合格までの年数となります。)
2.CFP資格のメリット
CFP資格には次のようなメリットがあります。
- 高い信頼を得られる
- 仕事の幅が広がる
- 宣伝ツールが一つ増える
- 1級FP技能検定の学科試験が免除される
高い信頼を得て幅広い仕事ができるだけでなく、CFP限定の宣伝ツールが使える、1級FP技能士の資格が取りやすくなるといったメリットもあります。
2-1.高い信頼を得られる
ファイナンシャル・プランナーの資格には、CFP資格、AFP資格、1級~3級ファイナンシャル・プランニング技能士(1級~3級FP技能士)があります。
CFP資格は、1級FP技能士と並んでファイナンシャル・プランナーの資格では最上級にあります。
どのような資格でも言えることですが、上級の資格であるほど寄せられる信頼は高くなります。持っている資格と実際の知識・技量は完全には比例しないかもしれませんが、上級の資格があれば、一定以上の知識・技量を持っていることが客観的に証明されます。
2-2.仕事の幅が広がる
CFP資格があると、高い信頼を得られるだけでなく、仕事の幅が広がる可能性もあります。
たとえば、CFP認定者は、日本FP協会が実施するFP相談の相談員やCFP資格審査試験の試験委員になることができます。
協会のFP相談にはさまざまな方がお見えになるので、そこで相談員を務めると貴重な経験になると思います。また、試験委員の業務はFPの主要な業務(相談・執筆・講演)とは少し離れるかもしれませんが、これまでに得た知識や経験を役立てることができるでしょう。
このほか仕事にかかわるメリットとしては、勤務先での評価が良くなったり、会社から手当が出たりすることもあるようです。
2-3.宣伝ツールが一つ増える
CFP認定者は、日本FP協会の「CFP認定者検索システム」に自身の情報を掲載することができます。
ホームページやSNSを使えば、ご自身でも十分に宣伝はできるでしょう。しかし、「CFP認定者検索システム」は、所在地や営業範囲、相談したい分野、FPの性別や年齢層で絞り込みができ、ニーズに合ったFPを探せるという特長があります。
2-4.1級FP技能検定の学科試験が免除される
ファイナンシャル・プランナーの上級資格には、もう一つ、1級FP技能士があります。
1級FP技能士の試験(1級FP技能検定)は学科試験と実技試験がありますが、学科試験は合格率が10%前後と、FP資格の試験としては超難関です。
しかし、CFP認定者は1級FP技能検定の学科試験が免除されます。CFP認定者になっていなくても、6課目の試験に合格していれば翌々年度末までは免除されます。
実技試験は免除されませんが、日本FP協会が実施する実技試験は合格率が95%前後で推移しています。
3.CFP資格のデメリット
ここまでCFP資格のメリットをご紹介しましたが、CFP資格には次のようなデメリットもあります。
- 試験が難しい
- 資格の取得・維持に費用がかかる
- 継続教育単位が2倍必要になる
- 一般の人にあまり知られていない
CFP資格は取得するまでの勉強が難しいだけでなく、資格を維持するためにも時間や費用がかかります。資格の知名度もまだ十分とはいえません。
3-1.試験が難しい
CFP資格はファイナンシャル・プランナーの上級資格なので、当然、試験は難しくなります。AFP資格を取得するための2級FP技能検定と比べて、試験の合格率は10~20%程度低くなっています。
さらに、受験のために学習する内容は格段に深くなります。2級FP技能検定までは1冊だったテキストが、CFP資格審査試験では6冊になることからも学習内容の多さがうかがえます。
日本FP協会がCFP資格審査試験で6課目合格した人を対象に行ったアンケートでは、1課目あたりの勉強時間は30~60時間という回答が最も多くなりました。次いで、100時間以上かかったという回答も多数ありました。
3-2.資格の取得・維持に費用がかかる
CFP資格は、取得するときだけでなく維持するためにも費用がかかります。
勉強の方法によって異なりますが、CFP資格を取得するためには、おおむね8万円~35万円かかります。また、CFP資格を維持するには、年間で2万5,000円~6万円ぐらいかかります。
CFP資格の取得や維持にかかる費用については、下記の記事で詳しく解説しています。
3-3.継続教育単位が2倍必要になる
CFP資格はAFP資格に比べて、資格更新のための継続教育単位が2倍必要になります(AFP資格は2年で15単位以上、CFP資格は2年で30単位以上)。
技量の維持や知識の更新のためには継続教育は必要ですが、費用だけでなく時間もかかるため、負担に感じることがあるかもしれません。
3-4.一般の人にあまり知られていない
金融・保険業界にお勤めの方や、FP資格をお持ちの方であれば、CFP資格がFPの資格の一つであることはご存知でしょう。しかし、あくまでも私個人の感覚ですが、CFP資格は一般の方にあまり知られていないのではないかと思います。
ファイナンシャル・プランナー自体が、まだ、税理士や弁護士のように広く知られる資格になっていません。そのうえ2種類の資格が混在しているので、「CFP認定者は、暮らしとお金の相談ができる専門家」であることがわかりづらくなっています。
メリットのところでもお伝えしましたが、CFP資格とあわせて1級FP技能士の資格も持っておくと、一般の方にも少しはわかってもらえるかもしれません。
4.まとめ
ここまで、CFP資格のメリット・デメリットをご紹介しました。
CFP資格があれば高い信頼を得られ仕事の幅も広がりますが、資格の取得・維持には時間も費用もかかります。CFP認定者になるかどうかを考えるときは、かける労力や費用に見合うメリットが期待できるかという視点もあるとよいでしょう。