9月1日は防災の日です。関東大震災が起こった日(1923年9月1日)にちなむほか、9月は大きな災害をもたらす台風が多いことから、この日に制定されたそうです。
しかし、大きな地震は何月であっても起こり、台風が来るのも9月だけではありません。この夏は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されたほか、台風の接近も相次いだことから、改めて防災対策について考えた人も多いでしょう。
今回は、一人で暮らすおひとりさま(単身者・シングル)が防災対策でできることをご紹介します。
ただ、私は防災の専門家ではないので、一般に広く紹介されている対策を整理しているにすぎません。より詳しく知りたい方は下記のページをご覧になるか、「防災対策」というキーワードで検索してください。
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1.災害から命を守るための対策
はじめに、災害から命を守るために事前にできる対策をご紹介します。
身の回りでどのような災害が起こるかを知ったうえで避難方法を確認します。また、家の中の安全を確保し、防災情報を得る準備をしておきます。
1-1.身の回りでどのような災害が起こるかを知る
自宅や勤め先など、身の回りでどのような災害が起こるかを知るには「ハザードマップ」を見るとよいでしょう。
ハザードマップとは、災害が発生したときに危険と思われる場所や、災害時に避難する場所を示した地図です。「被害予測図」、「防災マップ」と呼ばれる場合もあります。
ハザードマップは、お住まいの市区町村のホームページや、「ハザードマップポータルサイト」で見ることができます。
また、災害時に避難しなければならない場合に備えて、避難先・避難方法も確認しておきましょう。
1-2.家の中を安全にする
地震や台風から命を守るためには、家の中をできるだけ安全にすることも重要です。
たとえば次のようなことができます。
- 家具は転倒防止器具で固定する
- 背丈より高いところにはできるだけ物を置かない
- 寝室に大きな家具は置かないようにする
- 窓や食器棚のガラスに飛散防止のフィルムを貼る
このほか、家具の向きを変えるだけでも命を守れる場合があります。
避難所に行かずに自宅にとどまったほうが安全な場合は、「在宅避難」も選択肢になります。そのためにも、家の中を安全にすることは大切です。
1-3.防災アプリを使う
ひとりで暮らしていると、災害が起きたときに避難するかしないか、避難が必要ならいつ避難するか、といったことを自分だけで決めなければなりません。ご近所づきあいがあれば助け合いができますが、都会のマンションでは難しい場合も多いでしょう。
台風や大雨による災害は事前にある程度わかるので、避難が必要であればタイミングを逃さないことが大切です。
正確な情報で適切に判断するには、スマートフォンの防災アプリの活用をおすすめします。
自治体が提供する防災アプリでは、地域にあった情報を得られます。出かけることが多いのであれば、「Yahoo!防災速報」など全国に対応したアプリも適しているでしょう。
2.災害後に生きるための対策
続いて、災害にあった後に生きるために事前にできる対策をご紹介します。
主に、水や食料を備蓄しておくほか、簡易トイレの準備などがあげられます。
2-1.水・食料を備蓄する
水や食料の備蓄はすでに広く呼びかけられていますが、実際に準備するとなると何からそろえてよいか迷ってしまいます。まずは、普段食べているもので日持ちするものを少し多めに買っておくことをおすすめします。
ある程度(少なくとも3日分、できれば1週間分)準備できると、賞味期限の短いものから食べていき、その分を補充します。こうした備蓄の方法は、「ローリングストック」や「回転備蓄」と呼ばれています。
食品の備蓄については、農林水産省の「災害時にそなえる食品ストックガイド~単身者向け」が参考になります。
なお、高齢者、慢性疾患・食物アレルギーの方などは、「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」をご覧ください。
2-2.簡易トイレも準備しておきたい
地震や水害があったときは、上下水道が使えなくなります。マンションでは、停電でポンプが使えなくなったときも断水してしまいます。
上水道が使えるようになっても下水道の復旧が遅いと、トイレは使えません。排泄を我慢するのはよくありませんし、排泄を少なくするために水分や食事を控えるのもよくありません。
水洗トイレが使えなくなる場合に備えて、「簡易トイレ」を準備しておきましょう。
市販の簡易トイレでもいいですし、新聞紙・消臭剤(猫砂でも可)・ポリ袋を組み合わせて簡易トイレを作ることもできます。
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2-3.そのほか準備したいもの
食料やトイレ以外では、日常生活で「ないと困るもの」について予備を持っておくことをおすすめします。
普段から薬を服用している人は、薬を少し多めに持っておきましょう。近視の人は予備のメガネがあってもよいと思います。
Yahoo! JAPANの「防災ダイバーシティ」では、職業や個人の状況、住まいや暮らし、身体の状態、生活習慣などに応じてあてはまる項目を選ぶと、ご自身に合った防災対策が提案されます。ぜひ一度試してみてください。
3.災害に備えるお金の対策
最後に、災害に備えるお金の対策をご紹介します。
保険の加入のほか、キャッシュレス決済が使えなくなることを想定した対策が必要です。
3-1.火災保険・地震保険に入る
火災保険に加入する人は多いですが、賃貸住宅に住んでいると加入しない人もいるかもしれません。さらに、保険料が高いとか家が古いとかいった理由で、地震保険に加入していない人もいるでしょう。
火災保険は、火災だけではなく、台風・暴風、浸水、大雪による被害も補償の対象になります。
一方、地震による火災で受けた損害は火災保険では補償されず、地震保険でしか補償されません。
災害から生活を立て直すために、火災保険と地震保険の両方に加入しておきましょう。家の再建まではできないとしても、当面の生活用品を買いそろえるなど、保険金があれば助かることは多いです。
火災保険に加入している人も、改めて契約内容を確認しましょう。地震保険に加入していない場合は、契約期間内であっても地震保険を追加できます。
最近では、「保険金の請求を手伝う」などと言って被災者に近づく業者がいるようです。不要な調査費を請求したりずさんな修理をしたりなど、悪質なケースもあります。
災害にあった後に自分で手続きをするのは大変かもしれませんが、保険金は保険会社に直接請求するか、契約した代理店を通すようにしましょう。
3-2.小銭を準備する
キャッシュレス化が進んだことで、現金を使わなくなった人も少なくないでしょう。しかし、災害で停電したり通信が途絶えたりすると、ATMやキャッシュレス決済が使えなくなるかもしれません。
災害への備えとして、小銭や千円札も準備しておきましょう。
いくら準備すればよいかを一概に示すことはできませんが、ひとりで暮らしている場合は、3日~1週間分の生活費を目安にするとよいでしょう。
大規模災害が起こると、被災地では簡単な手続きで銀行からお金を引き出すことができます。
通帳やキャッシュカードがなくても、本人確認を行ったうえで引き出しができます。運転免許証など本人確認書類が必要ですが、ない場合でも柔軟に対応してもらえます。
店舗がないネット銀行では、電話をすれば10万円を限度に他行の口座に送金してもらえます。
4.できることから対策を
ここまで、一人で暮らすおひとりさまが防災対策でできることをご紹介しました。
この記事でとりあげた対策だけでは、まだまだ不十分かもしれません。しかし、一度に完全な対策をめざすと、やるべきことが多くて結局先送りすることになりかねません。それなら、できることから少しずつ始めるほうが取り組みやすいと思います。この機会にできることから対策を始めましょう。